釉薬の色の裏の話…その9 「釉薬を助ける、色のもと」


タイルを選ぶとき、まずは「色」、で探すという方が多いと思います。
「タイルの色」=「釉薬(ゆうやく)」
焼き物であるタイルの色は、とても細かな釉薬の調合によってうまれます。

今回は、釉薬、というよりは、より「色」そのものに近い「顔料」について。調べてみると、どうやらただの “色の粉” ではないようです…。





カラー三角座標




以前のブログで、「長石」「粘土」「石灰」という釉薬の基礎原料の割合を変えて結果を見る、「釉薬の三角座標」をご紹介したのを覚えている方、いらっしゃるでしょうか…?

「釉薬の三角座標」のお話はこちら >>>「陶芸の器とは違う、タイルに合った釉薬づくり」

「どんな組み合わせなら、タイルにふさわしい綺麗なガラス質(基礎釉薬)になるか」
「マット、ツヤ、目指す表面仕上げには、どんな割合でどんな組み合わせが適しているか」
というような、いわばタイルの色の「土台」、ベースを決めるための指標について紹介しました。





釉薬の三角座標




今回はその基礎釉薬に足す「色のもと」のお話。

絵の具やペンキみたいに、目で見たまんまの色を、ペタッと色をつける、ただの色の粉って思っていましたが…
実はこれ、高温の窯の中でも色が変わらないように特殊な金属成分を焼き固めて作った、とても「タフな粉」のようです。

1200度以上になるトンネル窯で焼かれても、色の力を発揮する、とっても特殊なタイルの「色のもと」なのです。

「色粉(いろこ)」や「セラミック顔料」なんて呼ばれています。










「色粉」の掛け合わせをみる、もうひとつの三角座標


基礎釉薬で理想のベース、マットやツヤなどの”質感” が決まったら、今度はこの「色粉」同士を組み合わせた「色の三角座標」の出番。





釉薬とカラーの三角座標




基礎釉薬の三角座標では「質感の違い」がでているのに対して、カラー三角座標では、基本となる3つの色粉が滑らかに混ざり合い、写真のように色鮮やかなイエローやピンクから絶妙な中間色・くすみカラーまで、無限のグラデーションが広がります。

「ベースを作る基礎原料の掛け合わせ」と「色を生み出す顔料の掛け合わせ」です。











もちろん、この特殊な「色粉」を使わないで表現可能な色もあります。でも、限りがある。それを補うのが、「色粉」の役目です。
正しくは、「無機顔料」というものになります。





様々なカラフルな顔料




釉薬(ゆうやく・うわぐすり)の基本構造と発色の仕組みは、ベースとなる釉薬(ガラス質)+発色成分(金属酸化物や無機顔料)の組み合わせで成り立っています。





1. 金属酸化物による着色
古くから使われている伝統的な手法。
金属酸化物が焼成(加熱)によってガラス質の中に溶け込み、化学反応を起こすことで発色

・酸化銅(CuO / Cu₂O)
 酸化焼成でグリーン(織部)、還元焼成で鮮やかな赤
・酸化鉄(Fe₂O₃)
 量や焼成方法により、飴色・黄(黄瀬戸)・黒・青緑(青磁)など多様に変化
・酸化コバルト(CoO)
 非常に強い青色(瑠璃)
・二酸化マンガン (MnO₂)
 紫~茶(飴釉)・黒系
・酸化クロム(Cr₂O₃)
 落ち着いたグリーン

【特徴】
焼成方法(酸化・還元)窯の温度、釉薬のベース成分(アルカリ・石灰など)に強く影響を受ける。そのため、意図しない複雑な窯変や味わい深い結晶・表情が生まれやすいのが魅力















2.無機顔料(セラミック顔料)の使用
金属酸化物だけでは安定した発色が難しい色や、鮮やかな中間色を出すために無機顔料(セラミック顔料)が広く使われる
金属酸化物をケイ酸塩やジルコニアなどの安定した鉱物構造(結晶格子)の中に閉じ込め、あらかじめ高熱で焼き固めて粉砕した人工的な顔料

・鮮やかな色の実現
 鮮明なピンク、イエロー、鮮烈なブルー、ターコイズ、オレンジなど
・高い熱安定性
 高温の窯の中でも分解されず、安定して狙った色を発色
・耐酸・耐アルカリ性
 ガラス質に溶け出さず、粒子として釉薬中に分散する

【特徴】
焼成方法(酸化・還元)による色のブレが少なく、狙った色を正確に再現、量産する際に不可欠





色鮮やかな顔料
色鮮やかな顔料




顔料って、ときどき耳にすることはありますが、何なのかはよくわからない。絵の具や印刷インキ、化粧品なんかにも入ってますよね。

タイルパーク本社があるお隣、岐阜県土岐市に古くからある窯業用顔料メーカーである、「NIC 日研株式会社」さんのホームページに、とてもわかりやすい資料がありましたので掲載させていただきます。(※再編集したものになります)





着色材の仕分け表
引用・参考: NIC 日研株式会社「顔料についての講演資料」
https://www.nikken-nic2.com/%E8%AC%9B%E6%BC%94%E8%B3%87%E6%96%99




以下、引用させていただきました。
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「顔料」とは…水に溶けず細かい粒子のまま着色する
さらに「顔料」は、大きく分けて二つに分類することができる

【有機顔料】
基本的に炭素Cを含む組成で出来ている着色剤
鮮やかな色を作ることができるが、高温では燃えてしまうので焼き物には使えない
【無機顔料】
金属酸化物を主に作られた顔料で、耐候性に優れている

“金属酸化物単体での色には限りがあります。そこで様々な色を出すために2種類以上の金属酸化物を化学反応させることでいろいろな色の顔料をつくることができます。
こういった混合して作る顔料は、単一酸化物と比較して複合酸化物顔料と呼ばれます。”
—————————————————————————————

4月12日は「タイルの日」なのですが、「多治見市モザイクタイルミュージアム」にて、タイル名称統一100周年の記念イベント(4年前)で講演されたときの資料だそうです。
この資料はホームページで現在も公開されていますので、ぜひご覧ください。とてもわかりやすく、大変参考になりました。
「日研株式会社」さま ホームページ https://www.nikken-nic2.com/










3つの組合せで広がる無限のカラーグラデーション


前置き?がまた長くなってしまいましたが、色粉=「無機顔料」は、高温の窯の中でも変色しにくく安定した発色が得られる、狙った色を正確に生み出すための大切な要素。

新しいタイルの色を開発する際、「カラー三角座標」という指標を使って色粉の組み合わせを考えるのに使います。
「釉薬の三角座標」とともに、釉薬マイスターが、釉薬調合のスタッフ、カラーブレンダーのために用意したものです。





カラー三角座標の資料




カラー三角座標の資料




元にしているのは、これ。こちらもいつもお世話になっている、ある顔料メーカーさんの資料です。









謎の呪文(化学記号?化学式??)が並びます。。。文系なのでわかりません。まったく脳が受け付けないので、色の掛け合わせの話にうつります。

三角形の頂点にそれぞれベースとなる「色粉」を置き、その混ぜ合わせる割合を少しずつ変えて焼き上げた結果です。





三角座標の割合説明










・頂点…黄色 100%(緑がかった鮮やかな黄色)
・底辺の左端…青 100%(トルコ石のような鮮やかな青緑色)
・底辺の右端…赤 100%(鮮やかで耐光性に優れた赤色)

釉薬マイスターから、これら3つの色の主となる成分も教えてもらったのですが、ここでは事情により割愛…。
3つの色がなめらかに混ざり合い、上の写真のようなグラデーションが生まれます。鮮やかなイエローや赤はもちろん、ニュアンスのある中間色やくすみカラーまで、割合ひとつで表情がガラリと変わりますね。

私は仕事柄、CMYKで色を作ることに慣れています。
紙の印刷物を作るときには、シアン(Cyan)・マゼンタ(Magenta)・イエロー(Yellow)・黒、墨(Key plate)で色を考えます。
またWebでは、赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の光の三原色、RGBで鮮やかな色を、モニター上で表現できます。





RGBとCMYKとタイルの色
RGBとCMYKとタイルの色。ちょっと並べてみました






これらと違って、また、焼き物、タイルの色の世界には、もととなる3つの色、黄色、青、赤、があるんだな、と。
なんだか不思議な感じです。









顔料、釉薬の原料に添加する割合は限られていて、ほんの数パーセントが限界。単純に、出したい色を入れればいいってもんでもないそうで…。
0.5%刻みで、添加する割合をかえて、その結果(焼き上がったタイル)をボードにまとめたものをつくり、保管しています。そのボードを見て、お客様からの依頼や、新商品を考えるときに参考にして、調合していきます。

「色のもと」である顔料の緻密な掛け合わせと、釉薬職人の技術、またその複合酸化物顔料をつくりだす顔料メーカーさんの技術、たくさんの知恵があつまり、タイルの豊かなカラーバリエーションが生み出されているのですね。










さて、今年もこの季節がやってきました。
来週からいよいよ、イタリアにて世界最大級のタイルの国際見本市「チェルサイエ」が開催されます。

海外チームでは、とてもたくさんの色見本を作成。なんと144種!(釉薬チームの皆さん、パネル製作のSさん、お疲れ様です)
なんでそんなにたくさんつくっちゃうの…、と思ってしまうのですが、たくさんの色の表現、日本独自の釉薬の表現を、世界の人に伝えたいという、強い思いがあるそう(海外チーム談)。

4月のアメリカでの展示会では、展示用タイルがアメリカに船便で到着後、海に沈む…という悲劇が。
海外での展示会は、いつも何かしら事件があります。
無事に開催、展示ができることを祈るばかりです…。

チェルサイエは今年で12回目の出展となります。いよいよ来週、9月21日から開催です。

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タイルの国際見本市「CERSAIE」
Bologna-Italy 21-25 / 09 / 2026

●「TN CORPORATION」
ブース番号: Hall 36 Stand C65
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メルマガを最後まで読んでくださった方に、少しだけチラ見せ。。。
チェルサイエにて展示予定のタイルです。ちょっと懐かしい感じのものもありますね。昭和のお家の外壁にあったような (^^














この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。











南天(なんてん)※旧品名:プランク
豊富な全10種類のカラー展開の。スマートなボーダータイル。基本のモノトーンから、暖色、寒色、さまざまな色。顔料だけではなく、いろいろな釉薬の掛け合わせで表現された、こだわりの10色!

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